歴史
清の同治帝の治世に、成都で陳森富の妻劉氏が材料の乏しい中、有り合せの材料で来客(労働者)向けに作ったのが最初とされる。「麻婆」とはあばたのおかみさんの意で、劉氏があばた面だったことに由来する。中国大陸では文化大革命以降「麻辣豆腐」と称することもあるが、「麻婆豆腐」と称する方が一般的である。
日本では四川省宜賓出身の名料理人陳建民によって日本で受け入れられるようにアレンジがなされた上で、店舗およびテレビの料理番組を通じて広められた。近年、日本では本場風に花椒を効かせたものを「四川麻婆豆腐」や「陳麻婆豆腐」と称して、陳建民が日本人向けにアレンジした「麻婆豆腐」と区別する傾向があり、本場風の麻婆豆腐を主力メニューにしたレストランも現れている。
肉やスープの素などの素材がレトルトパックされていて豆腐と水だけで麻婆豆腐ができる、麻婆豆腐の素も日本で商品化され、普及している。1971年に丸美屋食品工業が開発、商品化したのが最初で、その後、他の食品メーカーからも相次いで発売された。その後、香港や台湾でも類似の商品が発売され、現在は本場中国でも類似の商品がある。本場成都の陳麻婆豆腐も、激辛のレトルトパック調味料を販売しており、日本に輸入もされている。
なお、日本ではご飯の上に盛り付ける麻婆飯(マーボー丼)と麻婆豆腐とは別の料理であると認識されている(日本人の丼物に対する感覚に基く。詳細は丼物参照)。日本では派生料理として麻婆茄子や麻婆春雨が知られているが、本来は「魚香茄子」(ユーシアンチエズ)と「肉末粉絲」(ロウモーフェンスー)という別の風味の料理である。